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前田 和輝

研究員

前田 和輝

「科学に惹かれたのは小学生のとき」好きを仕事に、
ミクロの世界に新しさを追求する

まず自己紹介をお願いします。

ガルデリアで研究員をやっております、前田和輝です。
そもそも僕が科学を好きになったのは、小学6年生のときの担任の先生がいろいろなことを教えてくれたのがきっかけです。東急ハンズとかで売っているような小さい顕微鏡で、普段見えないような——例えば指紋だとか、葉っぱの表面だとか、そういったミクロの世界があるんだなっていうのを知って、小さな世界に憧れたんですよね。そこから、生物に関わる全般を好きになりました。

高校のときは、神戸高校のスーパーサイエンスハイスクールの総合理学科でサイエンスを中心に勉強して、その後は京大の理学部に入学しました。京大理学部は入ってから専攻を決められるので、いろいろなものを見てから専攻を決めようと思っていたのですが、大学一年生の後半で聞いた、植物をモデルとした細胞生物学の講義がすごくおもしろくて……。一つの細胞の中のミクロな世界で、いろいろなことが起きているっていうのにすごく魅力を感じたんです。

僕がやっていたのはシロイナズナっていう植物の研究なんですが、シロイナズナには遺伝子が2万個ぐらいあるんですね。その中の一つの遺伝子を研究して、徐々にみんなで謎を解き明かしていくという。その一角を担えるのは結構面白そうだなと思って、先の講義で話していた細胞生物学の教授の研究室に入りました。

どのような研究がガルデリアに入社するきっかけとなったのでしょうか。

大学で研究していたこととしては、シロイナズナの根っこですね。根っこの先端の細胞の剥離といいますか、細胞が脱離する様子、ボロボロ剥がれていく様子だとか。あと、シロイナズナは根っこの先から「ムシレージ」と呼ばれる特別な粘液を出すんですが、それが細胞の中でどういうふうにつくられて、どういうふうに細胞外へ排出されるのかっていうことはまだ全然わかっていなかったんです。そういった、根っこの細胞の発生生物学みたいなことをやってましたね。

そのなかでも、結構「細胞壁」にフォーカスして研究していたんですが、ガルディエリアは細胞の表面の細胞壁のところで金属を吸着しているので、どういったメカニズムで金やパラジウムを吸着しているのか……っていうところが、これまで自分がやってきたこととマッチしてるなというのと、純粋に興味深いなと思って、面接を受けさせていただきました。

他の企業や、研究機関に残るという選択肢もあったと思うのですが、あえてガルデリアに入社された理由はなんだったんでしょう。

まず僕個人の人間性として、「やるからにはおもしろいことをやりたいな」という想いがありまして。大企業に入って安定した生活を得るというより、「ベンチャーで“ひと山”当てたいな」みたいなのがあったんですよね。そういう僕の性質と、あとはやっぱり研究内容の面白さですね。

これまで研究していたシロイナズナはいくつもの細胞からできている植物ですが、ガルディエリアはといえば、同じ「植物」というカテゴリではあるのですけど、また違った生き方をしていて、それはそれでおもしろいなっていう感じですね。

結局、自分がやりたい研究をできるのであれば、アカデミアでも企業でも、どちらでもいいと思ってはいましたが、同じようなおもしろい研究ができるのであれば、企業で、しかもベンチャーでやった方が僕の性格とマッチしておもしろいんじゃないかと考えました。

ガルエリアではどのようなお仕事をされていらっしゃるんでしょうか。

メインでやっているのは、ガルディエリアを用いた金属吸着の実験ですね。あとは、ガルディエリアのスモールスケールでの培養とか、ガルディエリアの細胞内容物の抽出法を検討したりだとか。ほかにも、海外の金鉱石からどうやって金を抽出するのが効率がいいかっていうのを検討するなど、いろいろなことをやってますね。

基本的にスモールスケールのことに関しては、僕とアダムスさんがツーマンセルでやってます。それ以外の、例えば大量培養だったりとか、もう少し中規模大規模な培養とかになってくると、そちらは何人かのチームになってやっていますね。あとは、1,000リッターとかの大規模な培養装置をつくる人だったりだとか、いろいろな人がいろいろな役割を担っています。

わりと柔軟に、必要とあればそちらのチームに参加するってこともありますね。

前田さんの思う「会社の魅力」はどのようなところですか。

会社としての魅力というと、まさに今自分たちのやってることで、これが成功すれば「明らかに地球環境とか良いことにつながる」だろうと実感できるところですかね。

例えば、今はイオン交換樹脂とかの化学製品を利用して金属吸着を行なうのがほとんどです。それを、CO2を吸って育つガルディエリアで代替できれば地球環境的にはだいぶ良いといえますよね。

「ガルディエリア」の魅力、面白さはどのようなところですか。

まず、何といってもやっぱり生息する状況、育てる状況が独特っていうのがありますね。硫酸性温泉のような42度ぐらいで、しかもpH2.5以下ぐらいがちょうどいいっていうところが、非常に独特で魅力的だなって思います。

しかも、いろいろな培養の仕方ができる。光合成だけで育てるとか、砂糖とかを与えてその従属栄養だけで育てるとか。または、その両方を使うミクソ培養っていうのもできます……っていう、非常に柔軟な培養のやり方ができるっていうのはおもしろいです。

あとは、培養の仕方によって細胞の内容物、例えばタンパク質などの成分や、色素なんかもだいぶ変わってきたりします。

一つの細胞ではあるんですけども、育て方によってガラリと変わってくるというところがすごくおもしろいなと思います。それを扱ったビジネスで地球環境に役立つところが、現在の仕事の魅力の一つですね。

僕自身、博士課程のときにやっていた研究ももちろん面白いのですが、企業で研究することは、アカデミアと違って「実際に社会貢献できる」というのが、やはり魅力だと思います。

今後どのような方に、参画していただきたいをお考えでしょうか。

まずはガルディエリア自体をおもしろいなと思ってもらえる人ですかね。おもしろいと思えたら、自然と「こういうことやってみたいな」とか自発的にアイデアが浮かんでくると思うんですよ。

仮に金属吸着に興味がなかったとしても、例えば、ガルディエリアの光合成がおもしろいだとか、ガルディエリアの色素がおもしろいだとかいろいろな面があるので、全部に興味を持たなくても、どこかに自分の興味がマッチすればいいかなと思っています。
僕が研究者なのでそういう目線になっちゃうのですが、自分の興味の持てるポイントを探していただいて、それについて一生懸命研究してくれる方であれば、ぜひ来ていただきたいなと思います。

実は当社は、生物系の研究者はわりと多いんですね。なので、化学など違った分野の研究者さんならではの知識を活用できるシーンって、多分あると思うんですよ。実際にそういう人がいてくれたらと思ったこともあって。研究者としてのバックボーンをお持ちで、ある意味ど真ん中ではなく、いろいろな分野のスペシャリストの方がいらっしゃるとさらに良いのかなと感じています。